前澤友作氏の資産管理会社、4億円申告漏れに想う雑感  調査の現場ではこんなやり取りが推察される

マスコミ報道によると、東京国税局の税務調査で実業家・前澤友作氏が率いる資産管理会社「グーニーズ」が、約4億円の申告漏れを指摘されたとのこと。

報道によれば、グーニーズは2021年に社債を発行し、税理士が関与するコンサル会社が全額を購入。3年間で約2億円の利子を同社に支払った。しかし、このコンサル会社も社債を発行し、前澤氏の知人女性(前澤氏の養育義務のある子供の母親)がこの社債を購入。この購入資金について、前澤氏が低利で貸し付けていた。つまり、最終的に利子が彼女に流れていた。東京国税局は形式上の社債取引を通じて実質的な資金の還流であり、「寄付」に近いと法人税法132条に基づく「行為計算否認」を適用し、経費計上を否認した。

 一方で、グーニーズは当該年度で赤字を計上していたため、申告漏れ分は損失と相殺され、追徴課税は発生していない。法人税は利益に対して課税されるため、赤字企業には納税義務が生じないわけだ。

前澤氏は「納税義務から逃げも隠れもいたしません」とコメント。今後の税務処理に慎重を期す姿勢を強調した。

こんな報道があったわけだが、ここで指摘しておきたいのが、前澤氏が税務調査で争わなかったのは、

実際に4億円の納税にはなっていない

ことが大きいと推察される。

これは私のあくまで私見だが、恐らく、国税当局としてもこれら指摘事項を認めたら税務調査をここで終わらすことを約束したのではないだろうか。というのも、税務当局の新事務年度は7月10日からスタートする。6月末までに調査を終わらせておかなければ、次年度に持ち越しとなり長引いてしまう。国税局の調査となれば何人かのグループで行われ、メンバーの中には部署異動の人もいる。こうしたことを総合すると、「ここで手を打ちましょう」的なやり取りがあり、お互いに実利を取って「ちゃんちゃん」と調査を終わらせたものと思う。

それと、前澤氏も調査内容がマスコミ報道されたことに「税務職員が流したのでは?」的な発言をしているが、まさしく、国税当局職員がマスコミにネタを流したものと思われる。税務調査は「一罰百戒」的な意味合いで、似たような過度な節税や脱税をした場合にマスコミにさらすことがある。その一環だったのだろう。国税当局は「しらっ」としているが、ネタを流した人はそれなりの想いがあったものと推察される。

今回の報道を見て、個人的に税務調査の裏の流れはこんなことがあったのではないかと思った。